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商人 #39

日常も、「もしも」の時も、
商店街のお客さまと共に。

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無印良品 岡山表町商店街

​店長

海老原 孝人

スタッフ

小野 志歩

STORY

誰もが持っている「日常」を扱う

表町商店街を歩くと、鼻をくすぐる珈琲の香り。
喫茶店かと目を向けると、そこには街中の大型商業施設で見慣れた臙脂色の看板が。「無印良品」といえば広い店舗に日用品から大型家具、食品までが揃い「ここで生活できるのではないか」と思わせる商品がずらりと並ぶ風景を想像する。しかし、ここ岡山表町商店街の無印良品は一味違う。
こじんまりとした店舗はコンビニと同様の広さだが、その中にぎっしりと厳選された商品が並んでいる。さらに入り口ではコーヒーの販売も行っていて、店舗前のベンチでコーヒー片手に購入した無印のお菓子を楽しむことができるのだ。

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商店街にある店舗だからできる挑戦

「商店街にある無印良品だからこそ、他店舗ではできないことをやりたい」とお話を聞いたスタッフの小野志歩さんと海老原孝人さんは口をそろえて言う。
二人が無印良品のスタッフになったのも不思議なきっかけからで、小野さんは県外から岡山にやってきたというのに、引っ越す前の知り合いも転勤で岡山に来ており、再会したご縁から無印のスタッフとなった。

海老原さんはというと、「接客業はまだ経験したことがない」という理由から、せっかくならば衣・生・食がすべてある無印良品が良いだろうと考えたという。
面白い視点で入社した二人をはじめとするスタッフが取り組むのだから、それは他にない場所になるのも頷ける。
実際にこの店舗では「つながる市」「一坪開業」、大学生が取組んでいる「ふだん木の街プロジェクト」など、タイトルだけでワクワクするたくさんのプロジェクトが行われている。

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人としてお客さまのためにできることをやる

無印良品岡山表町商店街の朝は、近所の方や商店街に出勤する様々な人との挨拶から始まる。商業施設内の店舗ではなかなかない地域の皆さんとの交流だ。朝の挨拶は特に爽やかな気分になれる。また、店舗が広すぎない分、開店してからも自然とお客さまとの会話が発生する。「基本の接客オペレーションは他店舗と変わらないのですが、プラスαの会話が生まれることで人と人との交流を通して商品を売ることができます。『あんたがそう言うんなら買うわぁ』と言ってもらえた時はとても嬉しかったです。」と海老原さんがはにかむ。

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小野さんも「お客さまと話をじっくりしていくうちに本当に欲しいものがわかります。でも目的の商品がうちにはないときもあって。例えば植木鉢を載せる台を探していたお客さまがいたんですけど、ちょうどゴミ箱を二つ並べてひっくり返したらぴったりのサイズだったんです。本来の使い方ではないけれど、やって見せたらすごく喜んでくれて。最善のご提案できた!と私も喜んでしまいました。」と朗らかに笑いながら語ってくれた。

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都会過ぎないし、田舎過ぎない。「岡山」だから感じる魅力。

全国に店舗がある無印良品はその広さも特徴であり、大規模な場所では1200坪もあるという。対して無印良品 岡山表町商店街での小規模な出店はかなり異例なことだったという。
元々無印良品では宿泊業や空地の活用など「営利と公益」を共に追求できる地域活性化のための取り組みを行っている。今回の表町商店街の出店に際し、海老原さん方は自分たちから商店街で地域と連携できる取組みを考え本社に提案した。

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「ふだん木の街プロジェクト」がその一つだ。岡山県立大学の協力のもと、商品を並べる什器や休憩用のベンチなどを「木組み」という仕組みを使って作成している。これらは、災害時には組み替えて簡易ベッドやシェルターにすることができるのだ。
もちろん当初は店舗側からの提案に社内でも驚かれたらしいが、次第に社内での賛同者も増え、今につながっている。
「商店街に防災拠点って少ないんです。だからこそ、ここがそのまま拠点になればいいと思って。」海老原さんは言う。衣・生・食がすべてそろう無印良品の魅力に惹かれ入社した海老原さんがその考えに行きつくのは当然だったのかもしれない。

「岡山の人って、都会にも田舎にもない丁度良い距離感を持っています。でも身近な存在として私たちを受け入れてくれる、そこが魅力だと思うんです。」と小野さん。
人と人との交流としてお客さまと接するからこそ、たくさんの商品についての忖度ない意見が集まる。実際に、お客さまの意見が商品の開発や改善に直接反映されるのだという。また無印良品には多くのアイテムがあるため、スタッフも知らないような商品がある場合も。現場からプロモーションを提案する上で、お客さまのお話を聞いてお役に立てそうなものを探すたびに、こんな商品があったのかという発見もあるそうだ。

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「プライベートでも岡山の人ってあたたかいですよね。私は美味しいご飯やお酒が好きで、よく表町商店街界隈の飲食店の開拓に行きますが、一軒目で話しかけてくれた人と仲良くなって、二軒目にお勧めのお店を教えてもらったことがあります。受け入れてもらってる感じがして嬉しいですよ。」

商店街には個人店が多いこともあり、お店の方や常連さんとの会話を通してお客さん同士の距離が近くなる。県外から岡山に引っ越してきてくれた小野さんのこの言葉を聞いて、喜ばない岡山県民はいないだろう。

率先して「つながるための工夫」を取り込んでいく

無印良品岡山表町商店街には現在二つの「つながる」がある。
一つ目は2か月に一回行われている「つながる市」。地域の生産者やお店の方々が表町商店街中に出店するマルシェだ。つながる市のプロジェクト自体は全国の無印良品で行われているが、屋外や商店街というエリアにずらりと出店しているのは、現在は岡山表町商店街のみだそうだ。さらには岡山県立大学と共同で「こどもつながる市」を企画。こちらはエリアを限定しての開催だったが、ワークショップなどでたくさんの子どもたちが楽しんでくれたという。

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二つ目は「一坪開業」。無印良品店舗内に貸しスペースを設けて、表町商店街に出店を計画している方にテストマーケティング用の場として貸し出している。現在までに出店しているのは制服のリユースショップや国産の木製おもちゃを扱うお店など。

つながる市に出店してくださった方が次のステップとして一坪開業に出店、ゆくゆくは本当に表町商店街に店を構えることが目標だ。
「商店街のシャッターを開けていきたいんです。」語る海老原さんの瞳は熱くまっすぐだ。
また、「つながる市」と「一坪開業」の取り組みは今年のグッドデザイン賞にも選ばれている。人と人、人とお店、お店と企業、この取り組みがどんどん「つながって」いく。

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目指すのは「丁寧な暮らし」じゃなくていつもの「日常」

地域との連携に、地元の人との交流にと日々熱意を持って取り組む小野さんと海老原さん。

そんな二人の休日は意外にもゆったりとしていた。

小野さんは、先述の通りお酒と美味しい物を求めてお休みの日にふらっとあちこちに出かけている。ビール、ワイン、日本酒、なんでも好きで、気軽にお酒を楽しめる場所が多い点が岡山のいいところだと感じている。「親が転勤族で子どもの頃から色んな場所に住んでいましたが、岡山に住んでからは近所の人とも仲良くしてもらえて、更にその人たちがお客さんになってくれることもありました。仕事なのかプライベートなのか分からないような交流が嬉しいです。」と小野さんが明るく話せば、「僕もお酒が好きです。美味しいお酒を心置きなく飲めるようにジムで体を鍛えたりもします。あとは読書かな。最近は街づくりを勉強したくて、そういった内容の本が多いです。」と海老原さんも笑顔で話す。

 

二人が言うには、無印良品で働いていると『丁寧な暮らしをしてるんでしょ』とよく言われるらしい。確かにそんなイメージを抱くのもわかる。けれど二人の話を聞いていると、等身大の、仕事熱心な、でも休日は自分の好きなことをして楽しむような、誰とも変わらないあたたかい人たちがそこに居るだけだった。
誰もが持ってる「日常」を扱うのが、無印良品なのかもしれない。

 

日常だけじゃなく「もしも」にも備えてできることを

「ふだん木の街プロジェクト」による災害時の備えや、衣類から食品、生活雑貨に家具まで幅広く扱うからこそ災害拠点となるポテンシャルを持つ無印良品 岡山表町商店街。
無印良品全体として「いつものもしも」という災害用の備えになる商品ラインナップも取り扱っている。
「店舗スタッフはお店の当事者ではあるが、あくまで無印良品の、そして商店街の主役はお客さまであると考えています。」と話してくれた海老原さん。
無印良品 岡山表町商店街のスタッフの皆さんは、今日もお客さまに寄り添いながら「日常」と「もしも」を笑顔で販売している。

 

SHOP INFO
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   岡山市北区表町1丁目9-61

Tel  086-231-0545

営業時間 11:00~19:00

定休日 なし(不定休)

HP

https://www.muji.com/jp/ja/shop/detail/046764


SNS

@muji_omotecho_nakanocho

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